路上ライブを中心に“つながり”で活動の場を広げるミュージシャン:TSUBO-KENさん!
今回は、路上ライブを中心に活動されているサックス奏者、TSUBO-KENさんにインタビューさせて頂きました!
関西の中学・高校の非常勤講師をしていたTSUBO-KENさんは、20年前に東京に活動の拠点を移しました。路上ライブをメインに様々な”つながり”で演奏の場を広げながら、ご家族を養いつつ、現在もどんどん新しいことに挑戦しているミュージシャンの方です。
路上ミュージシャンと聞いて、裕福なイメージを持つ人は正直少ないと思いますが、TSUBO-KENさんが東京で路上演奏を始めた頃は、なかなか大きな額が稼げたとのこと。もちろん、TSUBO-KENさんの演奏が素晴らしく、多くの人を惹き付ける魅力があることは間違いありません。その上で、彼の音楽を評価する人も多く、引いては、路上ミュージシャンを受け入れる環境が世の中にあったということです。
しかし、路上演奏はどこでやっても良いわけではありません。TSUBO-KENさんの経験やキャリアに照らすと、年月を重ねる中で演奏できる場所が減ってきているように感じているそうです。
現在TSUBO-KENさんは、月に路上ライブを10数本、レッスンや音楽制作など様々な活動を通して生計を立てています。特にこのご時世、コロナ禍のため演奏の場が制限され、奥様と力を合わせて何とか生活を営んでおられるとのこと。この苦境においても、TSUBO-KENさんは常に音楽に全力です。プロフェッショナルとして、プライドを持って活動されています。
今回、2020/12/19に大塚の駅でのTSUBO-KENさんの路上ライブに伺うと、多くの人が足を止めて彼の音楽に耳を傾けていました。チラ見する人、見つめる人、立ち止まる人、チラシを取って見る人、写真や動画を撮る人、投げ銭する人など実にたくさんの人が、年齢性別も偏りなく、TSUBO-KENさんの音楽に興味を示していました。もちろん僕(ジンキムラ)もその中の一人です。
路上ライブの環境とは裏腹に、TSUBO-KENさん曰く、むしろ最近はお礼を言われることの方が多いとのことです。コロナ禍で多くのライブが中止になってしまい、生の演奏が聞ける機会が減っているため、力強いライブ演奏を聞けて喜ぶ人が多いのですね。Tsubo-Kenさんがお客さんにお礼を言われるのはコロナ禍に限ったことではありません。そもそも投げ銭が彼の音楽に対するリスナーからのお礼であり、感謝の表れです。人それぞれ所得や資産が違いますし、音楽の好みやその日の気分も違います。そんな中で、TSUBO-KENさんの音楽が刺さったリスナーがその喜びを伝えてくれるものが、彼のモチベーションにも繋がると言います。
大きな金額を投げ銭してくれる方もいれば、その日の買い物から野菜をくださる方、食べかけのメロンパン(齧ったところを除いて)を下さる方もおられたそうです。金額に直すと差があるかもしれませんが、”夕飯に使おうとしていた材料”、”その日の食事の一部”など本人たちにとって、とても大事なものの一部を差し出すほどの感動を届けていることが、彼の音楽の価値を物語っています。
TSUBO-KENさんが最も印象的だったのは、小学生のお子さんから貰ったポチ袋とのこと。それにはご両親からの手書きのお手紙が添えられていました。
“これは小学生の娘が入れた500円です。これは彼女の1ヶ月分のお小遣いです。「これ入れたら今月のお小遣いなくなるよ?」と聞いたところ、本人が「入れたい!」というので入れました。”
その女の子に最大限の感動を届けられたこと、そして、その感動をTSUBO-KENさんに伝えてくれたことを合わせて、とても印象的な思い出だと語って下さいました。
TSUBO-KENさんが路上ライブを続ける理由の一つはこの小学生の少女のような、普段ライブハウスやコンサートにはなかなか足を運ぶことが出来ない方々にをも、音楽を届けられるから!だということです。
路上ライブが収入の要でありながら、メンバーと共に演奏するライブはTSUBO-KENさんにとって音楽のスキルや経験を磨くための非常に重要な場所です。一人でオケをバックに演奏するスタイルだけでは自分の音楽性は成長しない!と、TSUBO-KENさんは言います。先輩後輩を問わず尊敬しているミュージシャンたちと音を重ね合わせないと決して体験出来ない学びと喜びを感じるために、TSUBO-KENさんはコロナ禍の今でも月に1,2本は2人以上のメンバーとのライブをやり続けておられます。いつも雀の涙しか渡せないギャランティにも関わらず、ずっと”つながり”続けてくれる仲間には絶えず感謝しているとおっしゃってました。
“つながり”によって広がる活動の場はミュージシャン同志のそれに限りません。2007年に渋谷駅の路上ライブで出会った長崎の幼稚園経営者の方とはYoutubeでのWebTVを始めました。さらに、その方の”つながり”から長崎の美術館や中華料理店、諌早のうなぎ屋、多良見駅のフリーマーケット、酒蔵、と現地の多くの方々に様々なところでライブする機会ををコーディネートしてもらったとのことです。場所のセッティングや企画、告知、集客、さらには現地ミュージシャンとのコラボまで準備して下さるようになりました。長崎での”つながり”がこの長崎ツアーを毎年の恒例企画にしてくれているとのことでした。このような”つながり”は長崎のみならず、北海道、福島、新潟、大阪、徳島など他にも様々なところに広がっていると言います。
また、最近ではLIVE812というライブストリーミングのアプリで、演奏をを配信しているとのこと。配信することでその場では出会えない方にも音楽を届けられる上に、ライバー(アプリ内でパフォーマンスする人々)同志の繋がりで新しい企画がたくさん生まれているとのとこです。2020年の8月から始め、岩手、埼玉、東京、神奈川、群馬、静岡、愛知、岐阜、大阪、高知、愛媛、長崎のライバーたちと実際に会ってコラボレーションし、北海道のミュージシャン&カメラマンとはアプリ内で楽曲制作も実施したとのことです。2021年も日本全国のライバーとのコラボを予定しており、その活動は音楽に止まらず、絵描きさんとの絵本制作にも広がりを見せているとのことでした。今後もこのLIVE812の”つながり”を活かして、新たなことに挑戦していきたいと意気込みを語ってくださいました。
TSUBO-KENさんの活動は、彼の音楽センスやスキルを前提にしていることは間違いありませんが、それに加えて彼の人柄が、この活動を支える大切な要素になっているように感じました。周りの人への気配りや礼儀、感謝はもちろん、その場を盛り上げる機転や小さな声も見逃さないきめ細やかな配慮、こう言った要素が、彼の周りに人を集め、さらにはもっと活動してもらいたいということで、継続して協力しよう!応援しよう!という気持ちを持たせるのだと感じました。
僕、ジンキムラもTSUBO-KENさんの今後の活動を楽しみしていますし、応援していきたいと思います!
そんな、TSUBO-KENさんもKIFFをアルバム制作のために使ってくださっています!ありがとうございます!
TSUBO-KENさんの演奏はLIVE812を始めYoutubeやfacebookなどのSNSでご覧になれます。是非みなさん見に行ってみてください!
最後まで読んでくださって、ありがとうございましたm(_ _)m